たき)” の例文
筆には毛頭罪なき事であればおゆるしを願いたき趣を訴え出でたるが全く其の方が盗み取ったる金子を是なる筆に遣わしたに相違ないか
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たすたき一心に理も非もなく只々一生懸命に申立けるにぞ越州殿ゑつしうどのには何樣なにさま愍然びんぜんとは思はるれども故意わざと聲をはげまされて成程親の爲に一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三八さんぱちといへる百姓は一人ひとりの母につかへて、至孝ならぶものなかりける。或年あるとし霜月しもつき下旬の頃、母たけのこしよくたきよしのぞみける。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「今度御光来の節は久し振りにて晩餐でも供したき心得に御座そろ寒厨かんちゅう何の珍味も無之候これなくそうらえども、せめてはトチメンボーでもと只今より心掛居候おりそろ。……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
廿歳はたちといふもいまなるを、さかりすぎてははな甲斐かひなし、適當てきたう聟君むこぎみおむかへ申したきものと、一專心せんしんしうおもふほかなにもし、主人しゆじん大事だいじこゝろらべて世上せじやうひと浮薄ふはく浮佻ふてう
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
致して見ん夫に就て急々きふ/\古河こが相談さうだんなしたきものなれども外の人をつかはしては事のわかるまじければ詮方せんかたなし我古河へ行きて吉右衞門殿に面談めんだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大道餅だいだうもちふてなり三ヶにち雜煮ぞうにはしもたせずば出世しゆつせまへの三すけおやのある甲斐かひもなし、晦日みそかまでにかねりやうひにくゝともこの才覺さいかくたのみたきよしをしけるに、おみねしばらく思案しあんして
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見て重四郎は心に悦び是を呼掛よびかけいづれへ參るや其方に少し尋ねたきだんあり先々此方こなたへ來るべしと酒屋へ連行酒肴などを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
樂隱居らくいんきよなされたきおのぞみのよし、これしかるべきこと御親類ごしんるいどう御决義ごけつぎわたくし初手しよてから貴君樣あなたさま東京とうけうへおし申すははぬほどにて、申しては失禮しつれいなれどいさゝかの學問がくもんなどうでもこと
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)