人聲ひとごゑ)” の例文
新字:人声
かしましき田畑たはた人聲ひとごゑと(あいちやんのつてる)へんじました、——遠方ゑんぱうきこゆる家畜かちくうなごゑは、海龜うみがめ重々おも/\しき歔欷すゝりなきであつたのです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、ものおと人聲ひとごゑさへさだかには聞取きゝとれず、たまにかけ自動車じどうしやひゞきも、さかおとまぎれつゝ、くも次第々々しだい/\黄昏たそがれた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄關げんくわんから病室びやうしつかよひらかれてゐた。イワン、デミトリチは寐臺ねだいうへよこになつて、ひぢいて、さも心配しんぱいさうに、人聲ひとごゑがするので此方こなたみゝそばだてゝゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ロレ 人聲ひとごゑがする。……こりゃひめよ、ま、はやてござれ、そこは疫癘えきれい無理むり睡眠すゐみん宿やどぢゃほどに。人間以上にんげんいじゃうちからため折角せっかく計畫はかりごとみなやぶれた、さ、はやうござれ。
と、いきなりひだりはうでガチヤガチヤと劍鞘けんざやおとがした。ゴソツとくつにこすれるおとがした。同時どうじに「ウウツ‥‥」とうな人聲ひとごゑがした。わたしがぎよツとしてかへすきもなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
何の手も無く奪ひ取り懷中せんとするをりからあとより人聲ひとごゑがする故に重四郎は振返ふりかへり彼は定めし子分こぶん奴等やつら何も恐るゝにはあらねども水戸浪人奴みとらうにんめちと手強てごはやつ見付られては面倒也めんだうなり早々此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其中そのうちひめ目覺めざめしゆゑ、てんせるわざ是非ぜひおよばず、ともかくてござれ、とすゝむるうちに、ちかづく人聲ひとごゑわれらおどろ逃出にげいでましたが、絶望ぜつばうあまりにや、ひめつゞいてまゐりもせず
かくて、數時間すうじかんたりしのち身邊あたり人聲ひとごゑさわがしきに、旅僧たびそうゆめやぶられて、ればかはやすあきそらの、何時いつしか一面いちめん掻曇かきくもりて、暗澹あんたんたるくもかたちの、すさまじき飛天夜叉ひてんやしやごときが縱横無盡じうわうむじん𢌞まはるは
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ヂュリ や、人聲ひとごゑ? なりゃ、片時へんしはやう。……おゝ、うれしや、短劍たんけん!(ロミオが佩びたる短劍を取りて)さ、さやはこゝに。(と胸を貫き)そこに居附ゐついて、わしなせてくれ。