“歔欷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すすりなき27.3%
きょき20.0%
すゝりなき10.0%
すすりな9.1%
きよき7.3%
すゝりな3.6%
すす2.7%
すすり2.7%
しゃく1.8%
しやく1.8%
なきじやくり1.8%
さぐ0.9%
しゃくり0.9%
しゃくりあ0.9%
しゃくりあげ0.9%
しやくりあげ0.9%
すすりあ0.9%
すすりない0.9%
すゝり0.9%
すゝりあ0.9%
すゝりなく0.9%
なきじゃくり0.9%
なげ0.9%
むせびな0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると、優しい歔欷すすりなきの声が、聞えて来たではありませんか。そうして私の額の上へ熱い滴が落ちて来ました。彼女が泣いているのでした。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
地上にてついた二人の影と、低くしずかに余韻を響かせている鉄の扉の軋音あつおんと、——いつの間にか、その音は、車匿の歔欷きょきに変わっていた。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
かしましき田畑たはた人聲ひとごゑと(あいちやんのつてる)へんじました、——遠方ゑんぱうきこゆる家畜かちくうなごゑは、海龜うみがめ重々おも/\しき歔欷すゝりなきであつたのです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そして、ジャズの音が激しく、光芒のなかで、歔欷すすりなくように、或は、猥雑わいざつ顫律せんりつただよわせて、色欲のテープを、女郎じょろうぐものように吐き出した。
そのちゝと子の心と心とが歔欷きよきの中にぴつたり抱き合ふ瞬間しゆんかん作者さくしやの筆には、恐ろしい程眞實しんじつあい發露はつろするどゑがき出してゐるではありませんか。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
どうしたけな?』と囁いてみたが返事がなくて一層歔欷すゝりなく。と、平常ふだんから此女のおとなしく優しかつたのが、俄かに可憐いじらしくなつて來て、丑之助は又
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それが胸を蜜柑の房のように絞るとその悲しみはかさを増して来て、くいくいとまた泣き歔欷すすりが二つ三つ立て続けに出ます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
阿母おつかさんから。』と低く言つて、二度許り歔欷すすりあげた。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
なんということなしにお玉は歔欷しゃくりあげるほどに動かされてしまったのでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その刹那、何だか急に胸が迫つて、思はず歔欷しやくり上げさうになつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
十八といふにしては成熟しきつた身體も見事に、薄紅を含んだ温かい凝脂、公卿眉に柔かい鼻筋、唇が濡れて、時々せぐり上げる歔欷なきじやくりも、痛々しく可愛らしい限りです。
聞えあげこたへまつれる人たれぞ涙せきあへずその声歔欷さぐ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼女は歔欷しゃくりあげながら言葉をついだ。
暗中の接吻 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
彼は藍色の太い縞目のあるハンケチに顔を押しあてて、続けざまにはげしく歔欷しゃくりあげていた。
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
しゃくり上げ歔欷しゃくりあげして泣き出し、ああ情ない親方、私を酔漢よっぱらいあしらいは情ない、酔ってはいませぬ、小蝶なんぞはべませぬ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しやくり上げ歔欷しやくりあげして泣き出し、あゝ情無い親方、私を酔漢よつぱらひあしらひは情無い、酔つては居ませぬ、小蝶なんぞは飲べませぬ、左様いへば彼奴の面が何所かのつそりに似て居るやうで口惜くて情無い
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
訳もなく歔欷すすりあげてゐる新坊を、吉野は確乎しつかと懐に抱いて、何か深い考へに落ちたさまで、そのあといた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
歔欷すすりないている証拠である。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『阿母さんから。』と低く言つて、二度許り歔欷すゝりあげた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
譯もなく歔欷すゝりあげてゐる新坊を、吉野は確乎しつかと懷に抱いて、何か深い考へに落ちた態で、その後にいた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何うか三八さん(歔欷すゝりなく)あなたのとこへなんぞ申して参られた訳ではございませんが、能々よく/\思召おぼしめして、子供を可愛想と思って
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母親を手古摺てこずらせて来たお滝は、最早涙も涸れた様子ですが、声の無い歔欷なきじゃくりが、玉虫色に紅を含んだ、可愛らしい唇に痙攣けいれんを残して、それがまだ好色漢すきもの岩太郎の眼には
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
庚午かのえうま、皇子大津を訳語田をさだいへ賜死みまからしむ。時に年廿四。妃皇女山辺みめひめみこやまべみくしくだ徒跣すあしにして、奔赴はしりゆきてともにしぬ。見るひと歔欷なげく。皇子大津は天渟中原瀛真人あまのぬなかはらおきのまひと天皇(天武天皇)の第三みこなり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
私は歔欷むせびないている自分の哀れな心の中に痛い傷痕をかんじて、我知らず手足を折られでもした者のようにうめき声を放った。