“しゃく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シャク
語句割合
59.9%
16.5%
8.5%
5.4%
2.4%
1.7%
1.1%
雛妓0.7%
0.6%
0.6%
歔欷0.3%
0.3%
0.3%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
半玉0.1%
0.1%
吃逆0.1%
0.1%
0.1%
欷歔0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「其の損得という奴が何時も人間を引廻すのがしゃくに障る。損得に引廻されぬ者のみであったなら世間はすらりと治まるであろうに。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私は腕をのばして、長兄にも次兄にもおしゃくをした。私が兄たちに許されているのか、いないのか、もうそんな事は考えまいと思った。
故郷 (新字新仮名) / 太宰治(著)
見ると、間のふすまが二しゃくばかりいて、そこにKの黒い影が立っています。そうして彼の室にはよいの通りまだ燈火あかりいているのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ときおり向うの庇の間から、頭の君と道綱とが小声で取交わしている話し声にまじって、しゃくに扇の打ちあたる音が微かに聞えてくる。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
大きいものは一こくるれば小さきものは一しゃくも容れ得ぬ。しかしいかにしょうなるも玩具がんぐにあらざる限りは、皆ひとかどの徳利と称する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おその上、四国遍路に出る、その一人が円髷まるまげで、一人が銀杏返いちょうがえしだったのでありますと、私は立処たちどころしゃくを振って飛出とびだしたかも知れません。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この度の娘の父は、さまでにもなけれども、小船一つで網を打つが、海月くらげほどにしょぼりと拡げて、泡にも足らぬ小魚をしゃくう。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうするとそこにお雛妓しゃくがきまして舞うわけであります。それを見ていると美しい流れが流れてくる。可憐なものだという気がしてくる。そうしてこれは奴隷だ。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
あるいは何々しゃくにして市内市外に許多あまた高甍こうぼう宏閣こうかくかまえている人よりも以上の租税そぜいを払っている例すらある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
吾家にしゃくとどめ給ひてその巻物を披見ひけんせられ、仏前に引摂結縁いんじょうけちえんし給ひてねんごろ読経供養どきょうくようを賜はりしのち、裏庭に在りし大栴檀樹だいせんだんじゅつて其の赤肉せきにくを選み
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お君は歔欷しゃくり上げて泣きました。
と、もうその時にはその人影、河とは反対、耕地の方へ投げられた石のように走っていた。眼にもとまらぬ早業で、しかもしゃく々たる余裕がなければ、到底出来ない芸当である。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このRのくわしいちゅうしゃくを聞いてから、舞台を見ると、そこにはまた一層の味わいがあった。そして見れば見る程、益々ますます深く百面相役者の妙技に感じた。
百面相役者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「こんどの歩騎ほき総指揮官は、河東の名将、呼延賛こえんさんの玄孫しゃくだ。左右両翼の将軍も名だたる人物。うかとはかかれん。そう先生には、まだご発言もないが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは輪をなし、あるいは波を描く。——林冲りんちゅうもいくたびとなく蛇矛だぼうをからめ取られんとした。しかし、しゃくにすれば、敵の蛇矛も息つくひまもないものだった。相互、炎の息となっている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お秋とお花とがびっくりしたように黙って泣き顔を視詰みつめているので、少しきまりが悪くなって応接間からテラスへ逃げて来て、まだしくしくとしゃくり上げながら
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と云いながら、幸子は一層はっきりとしゃくり上げた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
東京は絶対的に借金しゃっきんです、しゃっしゃくしゃく銭と中央から遠退くに従って相場が低下するのは自らその土地の文化の程度を示していて面白いですな
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その面形めんがたのごとくしゃくんだつらの、眉毛の薄い、低い鼻に世の中を何とにらんだ、ちょっと度のかかった目金めがねを懸けている名代なだいの顔が、辻を曲って、三軒目の焼芋屋のあかりてらされた時、背後うしろから
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこをやめてから祖母と病身な叔母との暮しで「いっそお半玉しゃくになってしまおうと思う」と決心するほど窮迫した。
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
娘はそういうとなおしゃくり泣いて、父の肩にかけた手にちからを込めて、抱きついた。が、眠元朗は娘がそう遣ったときから、忘失してしまったようにからだ全体に重々しいるい悲哀をかんじた。
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
さういふ物音がきこえるのである。多次郎はベソをかいてゐるらしいが、高く泣くのが恐ろしくて、変な工合に吃逆しゃくつたり、ウォンウォンと鈍く喚いたりしてゐる。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
厨川くりやがわしゃくに近き家なり。土淵村の安倍家の四五町北、小烏瀬川こがらせがわ河隈かわくまたての址あり。八幡沢はちまんざたてという。八幡太郎が陣屋というものこれなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
東助はしゃくり上げて
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
弱いきぬを長く裂いてゆくように泣き続けて、やがてむせるようになって消えたかと思うと、また物悲しそうに泣くを立てて欷歔しゃくり上げる泣き声が、いじらしくてたまらなく聞えます。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
シクリシクリとしゃくり上げ初めた。
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
にあらず。無にあらず、動にあらず、じょうにあらず、しゃくにあらず、びゃくにあらず……」その句も忍藻の身に似ている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)