鼓笛こてき)” の例文
山腹の総本家、祝氏の門では、はやくも偵知ていちしていたとみえる。三重の城壁と二つの荘門を堅め、銅鑼どら鼓笛こてきを鳴らすこと頻りに急であった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漕ぎすすむことややしばらく、近づく一口の江の蔭から、たちまち銅鑼どら鼓笛こてきの音がわき起った。見れば、一陣の物見舟である。賓客ひんきゃくの礼をとって、歓迎のがくを奏したものか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ川靄かわもやもほの白いうちに、しきりと、鴻雁こうがんが遠くで群れ立ち、やがて鑼声らせい鼓笛こてきの音と共に、櫓手ろしゅの船歌が聞えだしていた。近づくのをみれば、花やかな三隻の官船である。特に、勅使船のみよしには
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)