黒斑くろふ)” の例文
浅間、黒斑くろふ、その他の連山にはまだ白い雪があったが、急にそこいらは眼が覚めたようで、何もかも蘇生そせいの力に満ちあふれていた。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
五万の地図にはこれを浅間黒斑くろふ山とし、そばに(三ツ尾根山)と註してある。或は水ノ塔は湯の平の北方に在る二千三百十九米の三角点ある隆起をいうたものであるかも知れぬ。
上州の古図と山名 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
黒斑くろふひずみていたましく鮮明あざやかにこそされたれ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
黒斑くろふ白斑しらふの綾模樣
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
田中の駅を通り過ぎる頃、浅間、黒斑くろふ烏帽子えぼし等の一帯の山脈の方を望むと空は一面に灰色で、連続した山々に接した部分だけ朦朧もうろうと白く見えた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)