鹿皮しかがわ)” の例文
「イヤとてもお話にもなんにも……」とやっぱり頭をかいていたがポケットから鹿皮しかがわのまっ黒になった煙草入たばこいれとひしゃげた鉈豆煙管なたまめぎせるとを取り出した。
二老人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼はその船中で眼前に展開する河内かわち平野の景色でもながめながら一服やることを楽しむばかりでなく、愛用する平たい鹿皮しかがわの煙草入れのにおいをかいで見たり
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
で、何をするのかと思うと、この間、太股へうけた一本の小柄こづか細工刀さいくがたなとして、斑竹ふちくの細いさきを切り落し、鹿皮しかがわのワキ毛をむしって、一本の細筆ほそふでを作ったのである。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
河べりに近いうちでは、糸やあさをさらしていた。そのとなりでは染物そめものをしている。また一けんでは鹿皮しかがわをなめし、小桜模様こざくらもよう菖蒲紋しょうぶもん、そんなかたおきをしているうちもあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)