鳴過なきす)” の例文
そのかたわら尻端折しりぱしょりの男一人片手を上げて網船賑ふ河面かわづらかたを指さしたるは、静に曇りし初夏の空に時鳥ほととぎすの一声鳴過なきすぎたるにはあらざるか。時節はいよいよ夏のさかりとなれり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)