鬼窟裡きくつり)” の例文
或は多少の危険さへをかせば、談林風の鬼窟裡きくつり堕在だざいしてゐた芭蕉の天才を開眼かいげんしたものは、海彼岸の文学であるとも云はれるかも知れない。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ブウシエをわらつて俗漢とす。あにあへて難しとせんや。遮莫さもあらばあれ千年ののち、天下靡然びぜんとしてブウシエのけんおもむく事無しと云ふ可らず。白眼はくがん当世におごり、長嘯ちやうせう後代を待つ、またこれ鬼窟裡きくつりの生計のみ。