高粱コーリャン)” の例文
この頃は高粱コーリャンの刈入れ時で、どこの家でも眼が廻るほど忙がしいのに、この人は朝から煙草ばかりぱくぱくんで、寝そべって……。
青蛙神 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
高粱コーリャンの入りし米ながら、漸く今日配給となる。(十二日のものが十六日におくれた)
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
また同じ褐色の路、同じ高粱コーリャンの畑、同じ夕日の光、レールには例の汽車がまた通った。今度は下り坂で、速力が非常に早い。かまのついた汽車よりも早いくらいに目まぐろしく谷を越えてはしった。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
高粱コーリャンだね」
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
その傍らには大いなる土竃どがまありて、棚には茶碗、小皿、鉢などの食器をのせ、竃のそばには焚物用の高粱コーリャンを束ねたるを積み、水を入れたるバケツなどもあり。
青蛙神 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
李太郎も老人に頼んで、高粱コーリャンかゆを炊いてもらうことになった。彼は手伝って土竈の下を焚き始めた。
雪女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夜がふけて煖炉の火もだんだん衰えたらしく、堀部君は何だかぞくぞくして来たので、探りながら寝床をい降りて、まん中の土間へ焚き物の高粱コーリャンを取りに行った。
雪女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そんな場合でも露西亜兵ロシアへい携帯の黒パンはどうしてものどに通りませんでした。シナ人が常食の高粱コーリャンも再三試食したことがありますが、これは食えない事もありませんでした。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこへ私を連れ込んで、彼は直ぐに高粱コーリャンを焚いて湯を沸かした。珈琲コーヒーに砂糖を入れて飲ませてくれた。前方では大砲や小銃の音が絶え間なしにきこえる。雨はいよいよ降りしきる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
(男はそこらにある高粱コーリャンの束の上に腰をおろす。寝室より柳が窺い出づ。)
青蛙神 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)