高価たかね)” の例文
旧字:高價
夏珪の『李白観瀑』は、つい此間行われた伊達家の大売立に九万五千円と云う途方もない高価たかねを附せられた品物だった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「黒貂の皮は一枚もございません。あの商人がすっかり高価たかねで買いしめてしまって、敷物をこさえてしまいました。」
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
殊に高価たかね貨物しろものを提げてるという事をチラリと聞いたから、間が宜くば暗い処へ引摺込み、残らず引ッぱごうという護摩の灰の二人で、誠に悪い奴でございます。
が、結婚の式場につらなるまで、彼は瑠璃子を高価たかねあがなった装飾品のようにしか思っていなかった。五万円に近い大金を投じて、落藉ひかした愛妓あいぎに対するほどの感情をも持っていなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)