騒音そうおん)” の例文
その一方の土手どてむこう、そとぼりをへだてた城外じょうがいやなぎのかげに、耳に手をかざして、館のなかの騒音そうおんをジッといている者がある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中佐の言葉の調子がどんなに激越げきえつになろうと、佩剣のさやがどんな騒音そうおんをたてようと、そのまぶたは、ぴくりとも動かなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
騒音そうおんに慣れた彼が、ピストルの音をきかなかったというのであるからそれは本当であろう。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ものすごいさけび声が列車の騒音そうおんにもまぎれずに、ひびきわたった。ガタピシとひっかかって、戸はうごこうともしない。自分はふりかえりざま、また、気ちがいのようにランプをふりまわした。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
ふたりははうようにかがみこんだ、間道のふたへ耳をあててみた。いかにもみょうな物音がする。ダッダッダッと地の底を打つような音——ゴゴゴゴゴという騒音そうおん——それがだんだんに近づいてくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠く自動車の警笛けいてき、口笛を吹いている行人こうじん、など街の騒音そうおん
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)