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香央
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かさだ
庄太夫大いに
怡び、
二八よくも説かせ給ふものかな。此の事我が家にとりて
二九千とせの
計なりといへども、
香央は此の国の貴族にて、我は氏なき
三〇田夫なり。
さるに
香央が家の事は、神の
四一祈けさせ給はぬにや、只秋の虫の
叢にすだくばかりの声もなし。ここに
疑ひをおこして、此の
祥を妻にかたらふ。妻
四二更に疑はず。
香央の
女子磯良、かしこに
往きてより、
夙に
起き、おそく臥して、常に
舅姑の
傍を去らず、
五〇夫が
性をはかりて、心を尽して仕へければ、井沢夫婦は
五一孝節を
感でたしとて
歓びに
耐へねば