養蚕やうさん)” の例文
旧字:養蠶
連年の養蚕やうさんの失敗を恢復くわいふくしようと、非常に手をひろげてつた蚕が、気候の具合で、すつかりはづれて、一時に田地の半分ほども人手に渡して了ふといふ始末。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
養蚕やうさんの手伝をして日当を稼ぐなど、それは村の人が一時眼をそばだてる程の勤勉なる労働者と為つた
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
まづ最初に小さい風情ふぜいある渓橋、そのほとりに終日動いて居る水車、婆様ばあさん繰車いとぐるまを回しながら片手間に商売をして居る駄菓子屋、養蚕やうさんの板籠を山のごとく積み重ねた間口の広い家
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
世話人の重立つた人達、それは昔見た時よりも年を取り白髪しらがが多くなつてゐるばかりで、矢張或者は青縞めくらじまの製織に、ある者は小作の取り上げに、或者は養蚕やうさんの事業に一生懸命に携はつてゐるのを見た。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)