養蚕かいこ)” の例文
旧字:養蠶
勘さんの嗣子あととりの作さんは草鞋ばきで女中を探してあるいて居る。ちとさそうな養蚕かいこやといの女なぞは、去年の内に相談がきまってしまう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
養蚕かいこから、養鶏にわとりから何から何まで、今の後家さんのお八代さんが、たった一人で算盤そろばんはじかっしゃるので、身代しんだいは太るばかり……何十万か、何百万かわからぬと申しますが、えらいもので御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それに養蚕かいこの手伝い、雨の日の桑つみ、荷車のあと押し、労働という労働はせぬものとてはなかった。またある時は、はたの工場に雇われて、一日に一反半の高機織り、鼻唄を唄う元気さえなくなった。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)