食気くいけ)” の例文
旧字:食氣
しかも色気いろけがあるわけでも、食気くいけがあるわけでもなんでもない、一方の生命の危険から、ほとんど天災というよりほかはない女の立場であったに拘らず
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
比田はその頃から食気くいけの強い男であった。そうして余計食うのを自慢にしていた。それから腹の太いのをめられたがって、時機さえあれば始終たたいて見せた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幼虫時代は、醜い青虫の時代であり、成長のための準備として、食気くいけ一方に専念している。そして飽満の極に達した時、繭を作ってさなぎとなり、仮死の状態に入って昏睡こんすいする。
老年と人生 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
貴君あなた食気くいけ点張てんばりで女なんぞは振向きもしないと思ったら油断がなりません。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
食気くいけ狂人きちがいではござりませんに、御無用になさりまし。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今度は食気くいけがついて、それから人格を認められていない事を認識して、はなはだつまらなくなって、つまらなくなったと思ったら坑夫の同類が出来て、少しく頽勢たいせい挽回ばんかいしたと云うしだいになる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)