顫声ふるえごえ)” の例文
旧字:顫聲
私の背後で彼女が少し顫声ふるえごえで言った。「御免なさいね。……だけど、いま一寸の間だけだわ。……こんな気持、じきに直るわ……」
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
わたくしはもう落胆がっかりしてしまいましたよ、きみ。』と、かれ顫声ふるえごえして、冷汗ひやあせきながら。『まった落胆がっかりしてしまいました。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
母も夜時々眼をさましてみると、民子はいつでも、すくすく泣いている声がしていたというので、今度は母が非常に立腹して、お増と民子と二人呼んで母が顫声ふるえごえになって云うには
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)