顔附かおつき)” の例文
旧字:顏附
私は、この尤もらしい顔附かおつきが切ない。こう書いてしまうと、これだけの尤もらしさになってしまう、表現のみじめさが切なく、馬鹿馬鹿しいのだ。
二十七歳 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ただハインツェルマン氏だけは、無味な事務的な顔附かおつきで、さらに弾き始める合図を待っていた。彼はクナアク先生の効果に対しては、もう無感覚になっているのである。
エルリングが肩の上には、例の烏が止まって今己が出し抜けに来たわびを云うのを、真面目な顔附かおつきで聞いていたが、エルリングが座をったので、鳥は部屋の隅へ飛んで行った。
冬の王 (新字新仮名) / ハンス・ランド(著)
それともロシアの旅館や料亭で一般に呼ばれているように給仕ポロウォイというか、とにかく、おっそろしくてきぱきして、あまりせわしなく動きまわるので一体どんな顔附かおつきをしているのか
神崎分団長は、心配の眉をひそめ、途方にくれたという顔附かおつきで鉄造の方を見た。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)