頸部くび)” の例文
あの襟化粧をした頸部くび周囲まわりに、生々しい斑点となって群がり残っている絞殺の痕跡……紫や赤のダンダラを畳んでいる索溝ストラングマルクを……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それがお前、お美野さんの頸部くびを見りゃあ案の定、ありゃ細引きで縊れたもんじゃあねえ。もっと幅のある、こうっと、手拭いででも絞めたもんだ。手口は一眼でわからあな。
先生夢中で頸部くびを締めつけたもんだから、あんのやつ苦しがって悲鳴をあげたんです。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
あらわに細長く折れ曲っている間へ、長い頸部くびと、細長い胴体とがグズグズと縮み込んで行くのがよく見えた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
頸部くびに一条綱のあとがあって、鉛色に皺が寄っていた。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あの棺箱に納められる以前から、死んではいなかったに違いないという事が考えられるのであります。頸部くび周囲まわりには歴然たる索溝ストラングマルク——絞殺の痕跡を止めたまま……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)