頭屋とうや)” の例文
女と男とが祭を別にして、二十三夜や庚申の頭屋とうやでは、男が食事をこしらえ、女は皆他の家へってしまう処も方々にある。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
世襲の祭り人がきまってしまう迄は、もとはやはり順まわりに頭屋とうやに集まって、厳粛に祭の夜を守っていたのかと思う。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは人魚というまたと得難い魚だったのだが、仲間の人たちは気味を悪がって皆逃げて帰り、正直な前の頭屋とうやの主人だけが、残ってその人魚の肉を御馳走ごちそうになった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
雨風祭の折は一部落の中にて頭屋とうやを択び定め、里人集まりて酒を飲みて後、一同笛太鼓にてこれを道の辻まで送り行くなり。笛の中には桐の木にて作りたるホラなどあり。これを高く吹く。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
頭屋とうやの慣習と鍵取かぎとりの制度、社家相続の方法等の中を尋ねると今とてもこの差別の微妙なる影響を見出すこと困難ならず、ことに永年にわたって必ずしも官府の公認するところとならずとも
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
雨風祭の折は一部落の中にて頭屋とうやえらび定め、里人さとびと集まりて酒を飲みてのち、一同笛太鼓ふえたいこにてこれを道の辻まで送り行くなり。笛の中にはきりの木にて作りたるホラなどあり。これを高く吹く。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)