頬紅ほゝべに)” の例文
バスの発着場のそばに、バーのやうなものがあり、頬紅ほゝべにを真紅につけた女が、富岡に「お兄さん寄つていらつしやいよ」と云つた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
遠くから望むと、いかにも水々しく若やいで居た血色のいゝ両頬には、胸をむかむかさせる濃い白粉おしろい頬紅ほゝべにとがペンキのようにってあった。ところ/″\にこまかい縮緬皺ちりめんじわが寄って居る。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
頬紅ほゝべにを赤くつけてゐると思つたのは、さうではなくて、生地きぢからの頬の赤さで如何いかにも山間の女らしく見えた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)