頓挫しくじ)” の例文
笹村はちょっとした女の言い草に、自分の気持を頓挫しくじると、しばらくやされていた女に対するはげしい憎悪ぞうおの念が、一時にむくむくかえって来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
笹村は学校をめて、検束のない放浪生活をしていた二十はたち時分に、ふとしたことから負わされた小さな傷以来、体中に波うっていた若い血がにわかに頓挫しくじったような気が、始終していた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)