“韻律(リズム)” の例文
「耳に聽えない韻律(リズム)」それは即ち言葉の氣韻の中に包まれた「感じとしての韻律(リズム)」である。そして實に、此所に自由詩の詩學が立脚する。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
これは詩に於て、文字が文字としての生命を離れて、音声から成る韻律(リズム)及び諧調(ハアモニイ)の効果を企図してゐるのと少しも変りはないのであります。
演劇一般講話 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
陸軍の方の『独立家屋』なんていう変な飜訳や、死にかかった病人の脈搏みたいな韻律(リズム)の詩や、不健全な読書や、芝居や球突や、それから、多くは猫の生活、そんなのが、仕事と云えるものかね。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
即ち、現実のイメエジは、彼の心眼に、ある姿態(ポオズ)を映すよりも寧ろ、ある「韻律(リズム)」を響かせて流れすぎるのである。
『赤鬼』の作者阪中正夫君 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
けだし韻律(リズム)と詩との關係は、詩の起原に於てさへ明白ではないか。世界の人文史上に於て、原始民族の詩はすべて明白に規則正しき拍節を踏んでゐる。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
しかしながら元来言えば、詩が既に音楽から独立し、純然たる文学となった今日、尚(なお)かつ原始の発生形式たる、韻律(リズム)の機械則を守る必要はないであろう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
生命の韻律(リズム)に興味を繋ぐか、或はその姿態(ポオズ)に心を傾けるかによつて生じるのであると思ふ。
戯曲以前のもの (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
曰(いわ)く、詩とは韻律(リズム)によって書かれた文学、即ち「韻文」であると。思うにこの解説ほど、詩の定義として簡単であり、かつ普遍に信任されているものはないだろう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
それはつまり、思想が常に感情によつて裏づけられ、その感情が常に一つの心理的韻律(リズム)となつて流動することである。甲の白が乙の白によつてより活かされてゐることである。
舞台の言葉 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
しかしこの解説が、果して詩の詩たるべき本質を、形式上から完全に定義しているだろうか? 第一の疑問は、先(ま)ず韻律(リズム)とは何ぞや、韻文(バース)とは何ぞやと言うことである。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
そもそも如何にして韻律(リズム)がこの世に生れたか。何故に詩が、韻律(リズム)と密接不離の關係にあるか。何故に我等が——特に我等の子供たちが——韻律(リズム)の心像を離れて詩を考へ得ないか。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)