鞣革なめしがは)” の例文
その脚には綺麗な草色の沓足袋くつたびを穿いてゐる。沓は桃色の鞣革なめしがはで、それが黄いろい紐で締めてある。その締めた結玉がキヤベツの形になつてゐる。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
薄き汗衫じゆばん一枚、鞣革なめしがははかま一つなるが、その袴さへ、控鈕ボタンはづれて膝のあたりに垂れかゝりたるを、心ともせずや、「キタルラ」のいと、おもしろげに掻き鳴して坐したり。
怠けものの配偶つれあひの肥つた婆さんは、これは朝から晩まで鞣革なめしがはをコツ/\と小槌で叩いて琴の爪袋を内職にこしらへてゐる北隣の口達者な婆さんの家の縁先へ扇骨木かなめ生籬いけがきをくゞつて來て
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)