鞍馬寺くらまでら)” の例文
庄司も妻もおもてを青くして嘆きまどひ、こはいかにすべき。ここに都の三二八鞍馬寺くらまでらの僧の、年々熊野くまのに詣づるが、きのふより此の三二九向岳むかつを三三〇蘭若てらに宿りたり。
「おまえこそいったい何者だい、鞍馬寺くらまでら小坊主こぼうずさんでもなし、まさか山男のせがれでもあるまい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さてここに、鞍馬寺くらまでら山伏やまぶし安珍あんちんというのがあった
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おとといの夜半よなか、ここの木賃宿を叩いて、久しぶりの訪れに、木賃の老爺おやじを驚かせた宮本武蔵は、一夜を明かすと、鞍馬寺くらまでらへ行って来ると断って出かけたまま、きのうは一日姿を見せなかった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)