面詰めんきつ)” の例文
「宿屋兼料理屋さ。だからあいつを一番へこますためには、あいつが芸者をつれて、あすこへはいり込むところを見届けておいて面詰めんきつするんだね」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
急にうながさねばならぬが、書状も度々たびたびやってあるし、密使も屡〻しばしばつかわしてある。この上は、自分自身が参って、吉川、小早川などにもきびしく面詰めんきつするしかない
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五人の親族に面詰めんきつされながら、自ら留守役を買って平然とうごかなかった態度が、戦場へぬけて出ようとする通胤の足をとめたのだ。しかし、父の仕方は、予想以上に専横だった。
城を守る者 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
信長が待っていた「時」も、藤吉郎が計っていた「時」も、そこを押し通って、義昭に十七ヵ条の返答を面詰めんきつする適当な時節であった。そしてその時節は、ふたりの予想していた以上早く来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)