青洟あおばな)” の例文
みんなもいっている。わしだけの言葉じゃない。御加増になっても、貴さまはまだおれの下役だぞ。……洲股城すのまたじょうにおった頃、貴さまは青洟あおばな
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五尺八寸のノッポで、顔はうすのようにでっかく、二十八歳で青洟あおばなを二本垂らそうという抜群さ。
……あたしが手を合せてたのんだとき、そいつをきいてくれてたらこんな羽目にはならなかったんだ。善因善果、悪因悪果、早く絞首台へ追いあげられて、青洟あおばなをたらして往生しろ。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
大方まだ済ないンだろう、なぞと思いながら、うッかり覗いていたが、ふッと気が附くと、先刻さっきからそばで何処かの八ツばかりの男の児が、青洟あおばなすすり啜り、不思議そうに私のかお瞻上みあげている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
青洟あおばなを垂らしかねないいもの子、山の子揃いだったのが、それが、どうして? と疑われるほど、いつのまにか各〻、ひとかどの人品と武者振を備え
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又八も青洟あおばなを垂らし、武蔵もまだ八ツか九ツ頃の悪戯いたずらざかりの当時、村の桑畑や本位田家の台所などで、この老婆としより
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)