ロシア)” の例文
(麦畑のひろがる欧北の野に、木の壁をもつロシア人の家がたつ。五月の春はいまなお浅く、寒ざむとした林はまだ花さえつけていないのだ。)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
(欧州を蹂躙して武の勢威をふるい、ロシアの野に一敗して事ごとに差違が生じた。ひとり枯骨万人の恨みをもって、絶海の潮風に血によごれた衣をさらしたのである。)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
(ひろびろとした原は海よりも広く、千里をゆく汽車は孤独に走りつづける。ひとすじの鉄路に空はまさに暮れなずみ、風を切りさくようにしてロシアの首都に入ったのであった。)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
(雲ともやが遠くつらなり、望めども茫々とはてしなく、水辺も村落もはるかに鉄路のみが長々と続いている。ロシア国の北方は荒原が海よりもひろく、あたかも陸上における太平洋のようであった。)
西航日録 (新字新仮名) / 井上円了(著)