霊験あらたか)” の例文
禰宜 人妻にしては、艶々つやつや所帯気しょたいげ一向いっこうに見えぬな。また所帯せぬほどの身柄みがらとも見えぬ。めかけ、てかけ、かこいものか、これ、霊験あらたかな神の御前みまえじゃ、明かに申せ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところがここに困ったことは、薬草採りという奴が、おおかた都会みやこの人間でな、お山の霊験あらたかさをわきまえていない。そこでお山中を駈け巡り、木を仆したり、土を掘ったり、荒らして荒らして荒らし廻る。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(とろりと酔える目に、あなたに、きざはしなるお沢の姿を見る。あわただしくまうつむけに平伏ひれふす)ははッ、大権現だいごんげん様、御免なされ下さりませ、御免なされ下さりませ。霊験あらたか御姿おすがたに対し恐多おそれおおい。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)