雪渓せっけい)” の例文
旧字:雪溪
アルプス山中の万年雪まんねんゆきまでがどんどんとけ出した。雪渓せっけいの上を、しぶきをあげて流れ下る滝とも川ともつかないものが出来、積雪せきせつはどんどんやせていった。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
汽車に乗ればやがて斧鉞ふえつのあとなき原始林も見られ、また野草の花の微風にそよぐ牧場も見られる。雪渓せっけいに高山植物を摘み、火口原の砂漠さばく矮草わいそうの標本を収めることも可能である。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その雪渓せっけいの底から人骨の如く腕を空へ伸ばしている焼木やけぎこずえに、一羽の雷鳥が雪をちらして飛んだのを目撃したほか、人はおろか、生物と名のつくものは虫一匹見あたらなかったと申します。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雪渓せっけいの上を、しぶきをあげて流れ下る滝とも川ともつかないものが出来、積雪はどんどんやせていった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)