離島はなれじま)” の例文
植木屋であいも誘われて、残らずどやどや駆けて出る。私はとぼんとして、一人、離島はなれじまに残された気がしたんです。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これに反して小さな離島はなれじまでも、屋久島はいまなお痕跡があり、四国にも九州にももちろん住むと伝えられます。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「あめりか物語」中最終の短篇にも書いた通り紐育ニユウヨオク湾頭の離島はなれじまよる小禽ことりが鳴く「六月のの夢」を見たのは、丁度々々ちやうど/\このやうな古びたペンキ塗りの水道も電灯もない田舎家の一室であつたのだ。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
広い広い大洋の中の離島はなれじまにゐるやうな気がする。只側に粘土ねばつちで下手に築き上げた煙突が立つてゐて、足の下に犬が這ひ寄つてゐるだけである。物音がまるで絶えて、どこもかしこも寒くて気味が悪い。