障礙しょうげ)” の例文
正法には必ず障礙しょうげのあるもの、放屁を抑えようとして四苦八苦するのも未だ法を会得えとくすること遠きがゆえであり
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
されど帰国後吾が心には妄想もうぞう散乱し、天主デウス、吾れを責むる誘惑テンタサン障礙しょうげを滅し給えりとも覚えず。(以下略)
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
万人に降臨して、平等に臨みたもう日天さえかくのごとし、いわんや魔魅障礙しょうげの物をや、毫髪ごうはつなりとも便を得て、その物に化して真気を奪わんと窺う時、眼を見るべからずとぞ
よしそれまでまてばとて武男が心は容易に移すべくもあらずして、かえって時たつほど彼の愛着のきずなはいよいよ絶ち難かるべく、かつ思いも寄らぬ障礙しょうげで来たるべきを思いしなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ドレスデンにゆきて、画堂のがくうつすべきゆるしを得て、ヱヌス、レダ、マドンナ、ヘレナ、いづれの図に向ひても、不思議や、すみれ売のかほばせ霧のごとく、われと画額との間に立ちて障礙しょうげをなしつ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)