附人つきびと)” の例文
その帰りには佐倉、成田の方面へ廻るということで、いま目黒の不動様に厄介になっている米友が、その附人つきびとの一人に選ばれたという次第です。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
新画の高い今時、そんな勿体もつたいない事があるものかと、鉄斎が外出そとでをする時には、途中が危いからと言つて、屹度きつと附人つきびとを一人当てがふ事にしてゐる。
「阿弥陀ヶ峰、また、三条河原などで、後醍醐のお附人つきびとらを、処刑いたしたことを仰っしゃるので?」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れば小松殿も時頼をすゑ頼母たのもしきものに思ひ、行末には御子維盛卿の附人つきびとになさばやと常々目を懸けられ、左衞門が伺候しこうの折々に『茂頼、其方そちは善きせがれを持ちて仕合者しあはせものぞ』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
二人は、こうして若い同士に、清興と、冒険とを兼ねて、いい心持いっぱいで打たせて行きましたけれど、ここに気の毒千万なのは三騎のお附人つきびとです。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それであるのに誰も附人つきびとなしに、一人で雨の中を笠もかぶらないで大人の下駄を穿いてそこへ