閥族ばつぞく)” の例文
もっとも藤原氏もその全盛期には、思いきった閥族ばつぞくの独占をやったが、入道は同時に、兵馬の権をも把握していたから、その勢いは到底
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しからんな。名の為にじつを顧みないに至つては閥族ばつぞくの横暴もきはまれりだ。」と憤慨ふんがいした。
饒舌 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
先輩は怒鳴どなりだした。当時閥族ばつぞく政府へ肉薄して、政府をして窘窮きんきゅうの極におとしいれていた野党の中でも、その中堅とせられている某党の智嚢ちのうの死亡は、野党にとっての一大打撃であった。
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何をするにも——わがの結婚を考えるにさえ——すぐ閥族ばつぞくの勢力扶植ふしょくへ持って行ったり、政策の具にしたがるのが、不快でならなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吾輩が閥族ばつぞく政府にねらわれ、胃腸病で入院中を、閥族に買収せられた青木のために、吾輩の死んだことは、君も知っているはずだ、当時野党の中堅となっていた吾輩を倒して、野党を粉砕したので
雨夜続志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
勢い日増しに盛大な袁術えんじゅつは、かつて、この地方に黄巾賊こうきんぞくの大乱が蜂起した折の軍司令官、袁紹えんしょうの弟にあたり、名門袁一族中では、最も豪放粗剛ごうほうそごうなので、閥族ばつぞくのうちでも恐れられていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、閥族ばつぞく同士の公然な大贈賄ぞうわいというわけだな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)