間隔へだたり)” の例文
昨夜ゆうべの座敷の様子が、また鮮かに私の目に浮んだ。然うだ、菊池君の住んで居る世界と、私達の住んで居る世界との間には、余程の間隔へだたりがある。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかし誰に聞えましょう? 間隔へだたりがぐんぐん減って行きます。私は感覚のほかは死人も同様だったのです。
敷居をまたぎ左右を見た。正面三、四尺の間隔へだたりを置いて、紙帳が釣ってあり、その左右は闇であり、闇の彼方あなたには、部屋の壁が立っている筈であった。……左門の姿はどこにも見えなかった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
笹村との間隔へだたりが、だんだん遠くなってから深山は遠くへ越して行った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)