間近まぢ)” の例文
艇の出発はいよいよ間近まぢかになった。のこっているのは、飲料水の入ったたるがもうあと十個ばかりだった。一同は力をあわせて、この最後の荷物をはこびこんだ。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
われわれは往々にして余り間近まぢかなものを、間近かであるがゆえに見落すことがあります。たとえ白痴に近いおろか者であるとはいえ、警察の人達はなぜ風呂焚き三造を疑って見なかったのでしょう。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
もう夜逃げも間近まぢかなところに迫ってもいた。
オモチャ箱 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
それは灌木の欝蒼うっそうとした繁みで、足の踏み入れるところもないほどだった。彼は下枝を静かにかきわけながら前進した。もう屍体のある場所は間近まぢかの筈だった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見ると、直ぐ間近まぢかに、赤い灯火ともしびともっていて、それに「便所」という文字が読めた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)