閃刃せんじん)” の例文
が、左腕さわんを捕っても何になりましょう。右手の閃刃せんじんが横なぐりにそれを払うと、繩は唐竹を打ったように、カラリッと鳴って二ツに断られている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
シーッと静まり返っている八方の閃刃せんじん。機を逸したか、胆をのまれてしまったか、それに応じる気合いもないうちに、またかれは凛々りんりんたる語気を張って
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの死をきわめた颯爽さっそうたる白衣びゃくえの影が、いつひのきの蔭から、閃刃せんじんとともにおどり出さない限りもない。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三位卿は混惑してきた脳髄のうずいをいきなり村正むらまさかなんぞの鋭利な閃刃せんじんで、スッカリとぎ抜けられたような心地がして、踏みしめている足の裏から、かすかな戦慄さえおぼえた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
断崖の上へ来た一閃刃せんじん、梢をしなわせている綱を切った。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)