銘酒屋めいしゅや)” の例文
浅草あさくさ公園の矢場やば銘酒屋めいしゅやのたぐひ近頃に至りて大方取払はれしよし聞きつたへてたれなりしか好事こうずの人の仔細らしく言ひけるは
葡萄棚 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
浅草公園の銘酒屋めいしゅやに遊んで、田舎出の酌婦しゃくふ貯蓄債券ちょちくさいけんをやろうかなどゝ戯談じょうだんを云った。彼は製本屋せいほんやの職工から浅草、吉原の消息を聞いて居たのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
当時矢場の遊びやそのあとからできたいわゆる銘酒屋めいしゅやをひやかすそのうまさにかけては、美妙斎などとてもおッつかない遊び人だったそうで、今の露伴からは想像もつかんことですな
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
どんよりと曇りて風なく、雨にもならぬ秋の一日いちにち、浅草伝法院でんぽういんの裏手なる土塀どべいに添える小路こうじを通り過ぎんとしてたちまちとある銘酒屋めいしゅやの小娘にたもと引かれつ。
葡萄棚 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
銘酒屋めいしゅやに年季奉公しないか」
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)