釣銭つりせん)” の例文
旧字:釣錢
そしてそれを帯の間へまるめ込んで置き、帰ったときにはそれを、そのまま、釣銭つりせんの中に加えて祖母の前に出すのであった。
外に出て買う時に限って敷島しきしまを吸うのは、十銭銀貨一つほうり出せば、釣銭つりせんらずに便利だからである。朝日よりも美味うまいか如何どうか、私には解らぬ。
釣銭つりせんをまちがえることもないので、気に入ったから買いましょう、といった。
おじいさんのランプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それきり後がどうなったことやら分らなかったが、気が付いてみると、いつか自分は新国道のバスの停留所の前に来て、さっき床屋で受け取った釣銭つりせんの銀貨を、まだしっかりと手の中に握っていた。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それはこうした特殊な場合でなくても、二銭や三銭の釣銭つりせんは取らない人の多かったことによっても知られると思う。