金燈籠かなどうろう)” の例文
本堂に八基の金燈籠かなどうろう、観音の四燈、そのほか客間、茶室、記帳場——総て十二室の各座敷の仏画や仏像の前には、みな燈明がともされていた。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
お銀は惑わしいことがあると、よく御籤みくじを取りに行く近間の稲荷いなりへ出かけて行った。通りの賑やかなのに、ここは広々した境内がシンとして、遠い木隠れに金燈籠かなどうろうの光がぼんやり光っていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ことにわずかばかりの石燈籠に寒竹かんちくをあしらったり、多摩川石を敷石のまわりに美しく敷き詰めたり、金燈籠かなどうろうからちらつく灯は、毎夜の打水にすずしく浮んでいるのを眺めるごとに
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)