金剛不壊こんごうふえ)” の例文
彼の振る棒には、一定の法則があるし、彼の踏む足といい、五体のどこといい、武蔵から見て、これは立派な金剛不壊こんごうふえの体をなしている。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
登山者の眼中には、金剛不壊こんごうふえの山の本体の前に、永久性の大鳥居がただ一つあるばかりだ。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
この肉体を天地にたたきつけて、天地を自分の命令通り動かせる自分の肉体とするまでは思い絶たない望みであるのだ。天地と自分と一枚の肉体となって、そこに金剛不壊こんごうふえの自己を打ち樹てる。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
もっとも汽車の方で留ってくれたから一命だけはとりとめたが、その代り今度は火にって焼けず、水に入っておぼれぬ金剛不壊こんごうふえのからだだと号して寺内じない蓮池はすいけ這入はいってぶくぶくあるき廻ったもんだ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下 恋恋恋れんれんれんこい金剛不壊こんごうふえなるがせい
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と武士は金剛不壊こんごうふえと受け止めたので剣の交叉から瞳をやきそうな火花が散った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)