金丸かなまる)” の例文
同じ家中に剣術指南しなん番で金丸かなまる湛左衛門という者がいて、これが銀之丞の妹春枝を嫁に望んできたが、良からぬ人物なので断ったところ
武道宵節句 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一人は越後から京都に乗出して、嵯峨野の片ほとりに豪奢ごうしゃな邸宅を構え、京、大阪の美人を漁りまわしていた金丸かなまる長者と呼ばれる半老人であった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
初て往った頃は、前田家が宰相慶寧よしやす、伊達家が亀三郎、牧野家が金丸かなまる、小笠原家が豊千代丸とよちよまる、黒田家が少将慶賛よしすけ、本多家が主膳正しゅぜんのかみ康穣やすしげの時であっただろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
私は幼年時代に、ここの金丸かなまるといふ親戚の呉服屋さんへ遊びに来た事があるが、四つくらゐの時であらうか、村のはづれの滝の他には、何も記憶に残つてゐない。
津軽 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
その昔金丸かなまる氏の家臣杉浦吉之丞すぎうらきちのじょうの後家美和女みわじょ、施しを好み心掛けのやさしい婦人でありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
隊長は、神代直人くましろなおと、副長格は小久保くん、それに市原小次郎、富田金丸かなまる、石井利惣太りそうたなぞといういずれも人を斬ることよりほかに能のないといったような、いのち知らずばかりだった。
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
堀部安兵衛のしゅうとの弥兵衛金丸かなまるなのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)