醜男子ぶおとこ)” の例文
それは山家の者が手造てづくりにする不恰好ぶかっこう平常穿ふだんばきを指したもので、醜男子ぶおとこという意味をあらわしたものです。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
俗にこれを物にえきせられる男と云います。かような男が、何かの因縁いんねんで、急にこの還元的一致を得ると、非常な醜男子ぶおとこが絶世の美人にれられたように喜びます。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんなれば林藏という男が美男びなんという訳でもなし、の通りの醜男子ぶおとこ、それと斯ういう訳になろうとは合点がまいりません、おとっさん、ねえちいさいうちから妹は其様そんな了簡の女ではないのです
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし、ゆうべの書記の話を思出すと、線路番人のことが眼前めのまえに活きて来て、譬えようもない嫉妬しっとが湧上る。源は藁草履と言われる程の醜男子ぶおとこですから、一通りの焼手やきてではないのです。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)