郷愁きょうしゅう)” の例文
五郎大夫は、ここの陶器の製法をきわめるために、実に、十二ヵ年の辛苦と郷愁きょうしゅうに耐えて、異国に暮して来たのだった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私のうちにようやく浅草に対する一種の郷愁きょうしゅう的感情が鬱積うっせきしてきた。またぞろ浅草へ行きたくなった。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
このふくれるように盛りあがって満ちてくるしおなやましさ! わしはこの島の春がいちばん苦しい。わしの郷愁きょうしゅうえがたいほどさそうから。とぼしい草木くさきも春のよそおいをしている。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
自分はこの唄にはほのかながら子供の郷愁きょうしゅうがあるのを感じる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)