道化役どうけやく)” の例文
トッテンカン、トッテンカンと実に調子ちょうしよく木琴は鳴ります。三角帽さんかくぼうをかむり、道化役どうけやくの服を着た新吉は、そこで大きな声で歌います。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そこでとうとう、道化役どうけやく佐吉さきちさんが、クロにかわって、舞台に出ることにしました。そのとき、だれかが
正坊とクロ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
おまけにあいつは、わたしがあいつのためにしくんでおいた芝居しばい道化役どうけやくえんじることになるだろう。さてあしたは、おまえはあそこへジョリクールだけをれて行くのだ。
と一座の男女が、明日あしたからの生くべき途の心配です。はかないものよ、汝の名は旅芸人なりと、ふだんの道化役どうけやくが道化たことばも出ないで、ふさぎ込んでいるさまも哀れです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一座の道化役どうけやくに、一人の小人がいた。三十歳の癖に七八歳の少年の背丈せいで、顔ばかりが、本当の年よりもふけて見える様な、無気味な片輪者で、そんな男にあり勝ちの低能者であった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
実際、オランダ使節の随行員はこれほどの道化役どうけやくをつとめたものであった。しかし彼ケンペルはそこに舞踏を演じつつある間にも、江戸城大奥の内部を細かに視察することを忘れなかった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いつも正坊やクロといっしょに出て、喜劇をする道化役どうけやく佐吉さきちさんが、一座からぬけて、にげ出してしまったので、そのかわりを、ふとった団長がつとめることになりました。
正坊とクロ (新字新仮名) / 新美南吉(著)