「まあ待てよ、そこにはまたたね仕掛しかけがあるんだ。その天竜寺という寺へよ、この三日ばかり前から遊行上人ゆぎょうしょうにんが来ているんだ」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
藤沢寺とうたくじ遊行上人ゆぎょうしょうにん祐天和尚ゆうてんおしょうでも弘法大師こうぼうだいしでも有難い坊さんを大勢頼んで来て、大法事か何かして、花魁が成仏得脱とくだつさえすれば、貴方の御病気は癒るんですぜ
少なくとも遊行ゆうこう一処不住いっしょふじゅうの漂泊生涯を意味していたことは、遊行上人ゆぎょうしょうにんなどの例を比べてみてもよくわかる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いま本尊のわきの高いところで説教をしている六十ばかりの、至極せた老体がすなわち遊行上人ゆぎょうしょうにんなのでありました。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東海道の天竜川のほとりの天竜寺で米友は、心ならずも多勢を相手にして、その盗人ぬすびとの誤解からのがれようとしました。その時は遊行上人ゆぎょうしょうにんに助けられました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
幸い、あの時には、遊行上人ゆぎょうしょうにんのような眼の開いた人がいて、自分を擁護してくれたけれども、世間の人のすべてが遊行上人ではない。その後、江戸へ来てからも、誤解され通しで今日に至っている。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あれは遊行上人ゆぎょうしょうにんだというではないか」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)