連雀れんじゃく)” の例文
所は神田連雀れんじゃく町の丁寧松の住居すまいであり、障子に朝日がにぶく射し、小鳥の影がぼんやりとうつる、そういう早朝のことであった。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
連雀れんじゃくの藪蕎麦が近いから、あの佳味おいしいので一銚子、と言われて涙を流した。親身の情……これが無銭ただである。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある晩、連雀れんじゃく町の白梅の楽屋で浅草亭馬道がこういったときも、泣いて小圓太はつっかかっていって
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
それが三鷹みたかの駅の近くにある連雀れんじゃくという村だったということが、古い書物には書いてある。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
金色の翼の啄木鳥きつつきは紅のとさかと、幅のひろい黒い喉当のどあてと、すばらしい羽毛をつけている。連雀れんじゃくは、翼の先が赤く、尾羽の先は黄色く、羽毛は小さな鳥打ち帽のようだ。それから、かけす。
朝七つ時に神田連雀れんじゃく町の石川様の屋敷を、御門あきとともに出発した一行は、これから五十三次を、お壺だちといってそれぞれの宿場にとまりを重ねてゆくのだが、宿屋などでは身祝いをして
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そこを行き過ぎれば代官町となる。——すなわち今日の連雀れんじゃく町の辺で、町家ばかりが並んでいる。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小さな連雀れんじゃくのようなものを背に負い、身には刺子さしこのどんつくの縞目も見えぬものを着ふくれて、まるでエスキモーの奥さまのようなのが六、七人、何やらがやがやと話をして船を下りて行く。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もう久しい前からこの連雀れんじゃくという背負いかたは見られなくなり、連尺商れんじゃくあきないという言葉も忘れてしまっているが、その旅じたくの一部分は歩荷ぼっかたちのなかにつたわり、一方にはまたおいおいと
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)