身籠みごも)” の例文
悲惨な事には、水ばかり飲むものだから、身籠みごもったようにかえってふくれて、下腹のゆいめなぞは、乳の下をくびったようでしたよ。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嫁の元服は、身籠みごもつた時がきつかけで、それは封建的な怪しからぬ習慣であつたにしても、青々と剃り落した眉や、眞つ黒な齒は、また一つの女の魅力でした。
「——洞瀬どうせ山の曾古津そこつ様に祈って身籠みごもった子なのに、こんなからだになるなんてどうしたわけだろう」
「わたくしは貴方様の妻、妻は良人おっとに従うが道でござります、——それに貴方様はいまわたくしを清浄無垢と仰せられましたが、わたくしはもはや身籠みごもっておりまする」
入婿十万両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
おまえは和地へ嫁してきてまだ三十日に足らない、おれが討死したら、そしてもしまだ身籠みごもっていなかったら、離別して実家へもどってほしい、和地には郁之助という跡取りがいる、おまえがやもめを
日本婦道記:春三たび (新字新仮名) / 山本周五郎(著)