踉蹌ろうそう)” の例文
嬉しやと貫一は、道無き道の木をぢ、がけを伝ひ、あるひは下りて水をえ、石をみ、巌をめぐり、心地死ぬべく踉蹌ろうそうとしてちかづき見れば、緑樹りよくじゆ蔭愁かげうれひ、潺湲せんかん声咽こゑむせびて、浅瀬にかかれる宮がむくろよ!
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
大路の事であるから、たかき人も行き、ひくき者も行き、職人も行き、物売りも行き、老人も行けば婦人も行き、小児も行けば壮夫も行く、亢々然こうこうぜんと行くものもあれば、踉蹌ろうそうとして行くものもある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)