路伴みちづ)” の例文
それはまた路が不安になって来たがためであった。菊江はうしろ揮返ふりかえった。菊江は路伴みちづれになる人がないかと思ったのであった。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
路伴みちづれは田所碧洋とて、蛮骨稜々たる快男児、旭川市を根拠として嚮導を求めしに、成田嘉助氏という豪の者を得たり。
層雲峡より大雪山へ (新字新仮名) / 大町桂月(著)
夕日に彩られた峠、其処を私は郵便脚夫をしてゐる敏捷な少年と路伴みちづれになつて越えて行つた。下に見える村をたしか錦浦と言つたと記憶して居る。
春雨にぬれた旅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
王は独り自分の影を路伴みちづれにしていった。そして道を聞くこともできないので、ただ南の方の山を望んでいった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それは草の中の近路と同じような不安であった。それに微月うすづきがあって草の中の路も暗くはなかった。どうせ路伴みちづれがないなら路の近いほうが良いと思った。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)